虫に擬態する花

最終的に下ネタになる話。
 
図書館から「擬態 自然も嘘をつく(平凡社)」という本を借りて読んだ。
とりあえず、昆虫図鑑を正視できない人にはお勧めできない本だ。
花そっくりの虫の話などが満載の本であるが、逆に、虫そっくりの花の話も載っている。
 
オフリス、というランの一種だそうだ。園芸好きの人なら知っているかもしれない。
 
このランの花の中心部は、虫そっくりの形をしている。
 
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Ophrys insectifera
Ophrys muscifera
Ophrys aranifera
Ophrys apifera
Ophrys bombilyflora
オフリス
オフィリス
 
なぜこんな形をしているのか。
この花の研究が始まった当初には、蜂などに対して先客がいると思わせる、虫除けの効果があるのではないか、とも考えられたそうだ。
しかし、通常、花が虫を寄り付かせないようにする必要はない。
むしろ、多くの花は、花粉を虫に運んでもらわなくてはならないことは、皆さんご存知の通りである。
そこで、実際に花を観察してみると、ちゃんと虫がやってくる。
しかも、やってくるのはオスの蜂ばかりで、花にとまって交尾に近い行動を行う。
そのため、今日ではこの花は、メス蜂に擬態することでオス蜂をひきつけていると考えられている。
 
要するに、この花は自然のダッチワイフなのである。
 
…といいたいところであるが、
実際には、オスの蜂は射精までにはいたらないらしい。
無理矢理にたとえるならば、自然の抱き枕、と言ったところであろうか。
 
追記:この本は、生物学に詳しくない人にもお勧めの本であるが、昆虫図鑑を正視できない人はカラー口絵は見ないほうがよいだろう。
テントウムシそっくりのゴキブリの拡大図」(熱帯産・実物は体長1cm弱)なんてのが載っていたりするので。


擬態―自然も嘘をつく
W・ヴィックラー , 羽田 節子

発売日 1993/11
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表紙はハナカマキリ。