1000万円の土地が400万円の借金と等しくなる話。

前回の話の続き。

友人が詳しい話を聞かせてくれた。
その人は、土地を無償で提供したらしい。
ずっと使っていない土地だった上、
もともとは地域の共有物としての性格をもつ土地だったのが、
便宜的にその人の名義になっていた(よくわからないけど)
という事情もあったんだそうだ。

これだけではなんなので。

前回、無償で土地を提供しても、税金がかからなくなるため、丸損とは限らない、と書いた。
これを、具体的な数値でやってみる。

いま、土地の評価額が1000万円、土地にかかる税金が毎年14万円(地価の1.4%)とする。
この土地が、事実上、地域の共有物として使われているため、
個人的に使うこともできなければ売ることもできない、と仮定しよう。
そうすると、この土地を持っていても、毎年14万円の税金を取られるだけで、なんの得もないことになる。
この毎年14万円の支出は、消費者金融から年利28%で50万円を借りている場合の利子と同額。
または、年利3.5%の住宅ローン400万円分の利子と同額になる。
つまり、1000万円の土地を持っていた場合と、400万円の住宅ローンを抱えている場合の1年間の支出は全く同じ。
この1000万円の土地を無償提供することは、一見損に思えるが、
実は400万円の住宅ローンをチャラにしてもらったのと同じなのである。

∴1000万円=−400万円

なぜこんな不自然な結論が出たかと言うと、
もちろん、「未来永劫、使用も売却もできない土地」という仮定が不自然だから。
実際には何十年何百年も持ち続ければ状況も変わるはず。
そもそも、そんなに長く土地を持ち続けることができるかどうかはわからないけど。
ていうかその前に死ぬ。

ちなみに、冒頭の土地の無償提供をした人については、
相続が面倒になることを避けたい、という事情もあったらしい、
ということを付け加えておく。